理学・作業療法士として就職または転職する際に、年収はとても重要な指標となります。
一般的な理学・作業療法士と比較して、その職場の年収が低いか高いかは就職を決める大きな要素ですよね。
そんな年収をみる上では「平均値」と「中央値」という2つの指標があります。
平均値しか意識したことがなかったな
一般的には年収の平均値をみることが多いと思いますが、実は中央値の方を意識するのも大切です。
理学・作業療法士の年収の中央値を知ることで、就職および転職時の条件面をみる際にとても参考になります。
そんなわけで本記事では、理学・作業療法士の年収の中央値とそれを重視すべき理由についてくわしく解説していきます。
年収の平均値と中央値の違いや、それぞれの指標にバラツキが生まれる理由、年収をアップさせるための方法についても考察していきます。
年収の平均値と中央値の違い
年収を調べる際には、「平均値」と「中央値」という2つの異なる指標があります。
これらの指標はそれぞれに特徴があり、得られる情報も変わってきます。
平均値とは?
平均値とはデータの数字をすべて合計し総数で割った数値のことです。
例えば、年収が250万円・300万円・350万円・500万円・1000万円の5人がいた場合、平均値は以下のように計算されます。
(250万円 + 300万円 + 350万円 + 500万円 + 1000万円) ÷ 5 = 480万円
上記のように平均値は、全体のデータの総和を総数で割った値です。
データ全体の値をみることができます。
しかし、極端に高いまたは低い値に引きずられるため、データのばらつきが大きい場合は実態を正確に反映しないことがあります。
中央値とは?
一方の中央値とは、データを小さい順または大きい順に並べたときに真ん中に位置する値のことです。
上述の年収の例では、データを小さい順に並べると次のようになります。
250万円, 300万円, 350万円, 500万円, 1000万円
この場合、真ん中の値は350万円となります。
中央値はデータの中でちょうど中央に位置するため、極端な値に影響されにくいという特徴があります。
平均値と中央値にバラツキが生まれる理由
平均値と中央値はどちらも「データの中心部分を把握するための指標」となっています。
しかし下記のようなデータの特性上、どうしてもばらつきが生じます。
- 平均値:極端に高い値や低い値(外れ値)がある場合には、その影響を大きく受ける
- 中央値:極端な外れ値の影響を受けにくく、データの中心をより安定して示す
データが均等に分布している(正規分布)場合には、平均値と中央値はほぼ同じ値を取ることが多く、平均値が実情を正確に表します。
しかし、データに大きな外れ値が含まれている場合には平均値と中央値の間に大きな差が生じため、中央値の方が実態をより正確に反映しています。
ケースによって見るべき指標を変えないといけないってことだね
PT・OTの中央値はどれくらい?
平均年収jpや賃金カーブ等の統計を用いて年収中央値の平均を算出し、それを基に理学療法士の年収中央値を割り出しました。
その結果、理学・作業療法士の年収中央値はおよそ351万円となりました。
一般的に、年収中央値は平均年収の約84%の値と定義されています。
このため、年収中央値がより実態に近い数値を反映していると言えます。
- 年収の平均値: 約432万円
- 年収の中央値: 351万円
理学・作業療法士の年収は中央値でみるべき理由
理学・作業療法士の年収を評価する際に、平均値ではなく中央値を参考にすることが重要です。
具体的な理由は以下の3点が挙げられます。
それぞれ解説していきます。
年齢分布の偏りが大きい
ここ10〜15年で多くの養成校が設立され、20〜40歳の若い理学・作業療法士が増えすぎとも言える状況になっています。
下図は日本理学療法士協会の会員数をもとにした年齢別の分布ですが、40歳までの若い世代が大半を占めているのがわかります。
さらに診療報酬の削減なども相まって、若い世代の年収は以前より大きく下がっています。
一方で、45歳以上のベテランと呼ばれる理学・作業療法士は少ないですが、年収は高い世代です。
このような年齢分布の偏りにより、平均値だけでは若手とベテランの年収差が大きく反映されてしまいます。
そのため中央値を用いることで、年収の実態をより正確に把握することができます。
若い世代の昇給率の低さ
現在の若い世代の理学・作業療法士の昇給率は非常に低く、公務員や公的機関に所属しない限り、昇給額は多くても2,000円〜3,000円程度です。
職場によっては昇給がない、あっても500円なんてところも…
一方で、高年収のベテランセラピストが引退すると、新卒の若手療法士の低い昇給額がデータに反映され、年収の平均値が実態と乖離することがあります。
このため中央値を参考にすることで、より現実的な年収の評価が可能となります。
働く分野による年収差
理学・作業療法士は働く分野によって年収に大きな差があります。
大学教員や公務員などの高所得な職場と、療養型病院などの比較的低所得な職場では年収の偏りが大きくなります。
例えば、年収が300万円台の理学・作業療法士が多数を占める一方で、一部の高年収者が平均値を引き上げてしまうことがあります。
そのため中央値を用いることで、このような年収の偏りを避け実態に即した年収の評価を行うことができます。
以上がPT・OTの年収は中央値を参考にすべき理由と言えます
理学・作業療法士が年収をアップさせる方法
誰しも年収はアップさせたいもの。
ここでは理学・作業療法士が年収をアップさせる方法をいくつか紹介します。
それぞれ解説していきます
管理職を目指す
管理職などの役職に就けば、手当等もつくので大きく年収をアップできます。
役職の手当は3〜5万円が相場なので、それだけで年収36〜60万円ほど増やすことができます。
僕も管理職になって大きく年収が増えたよ
管理職では理学・作業療法士としての技術だけではなく、マネジメント能力やコミュニケーション能力を高める必要もあります。
大変な側面もありますが、人としても成長できるので経験してみるのはおすすめです。
理学療法士の管理職の手当や仕事内容については、こちらの記事でくわしく紹介しています。
資格取得を目指す
理学・作業療法士は下記の資格を取得することで、病院によっては資格手当がつく場合もあり、年収アップに繋がります。
- 認定理学療法士
- 専門理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 心臓リハビリテーション指導士
- 介護支援専門員
- 認知症ケア専門士
- 栄養サポートチーム専門療法士
- 日本(地域)糖尿病療養指導士
また、これらの資格を取得することで自身の知識の幅が広まり、転職にも有利となるためおすすめです。
理学療法士におすすめの資格は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
転職する
理学・作業療法士を年収を大きくアップさせたいなら、とにかく転職です。
転職によって年収が100万円近くアップするケースもあります。
仕事量は同じなのに、働く場所が違うだけで年収って全然変わってくるよ
実際に筆者も今の職場(整形外科クリニック)に移って、年収が120万円以上もアップした実績があります。
転職で年収アップを狙う場合には給料交渉も必須ですが、自分ではなかなかしにくいもの。
そこでおすすめなのが、リハビリ向け転職サイトの担当者さんに代行して交渉してもらうというもの。
給料交渉をしてもらうのはもちろん無料なので、使わない手はないです。
リハビリ向け転職サイトは数多くありますが、PTOT人材バンクは高年収の求人が多く、担当者の質も高くおすすめです。
\ 高年収の求人が多い /
※ 無料で利用できます
PTOT人材バンクの評判は、こちらの記事で紹介しています。
副業
理学・作業療法士の資格と知識を使った副業や、趣味を活かした副業で稼ぐ方法もおすすめです。
インターネット上での副業やスポーツトレーニング施設、オンライントレーニング指導、セミナーの開催、訪問リハビリの非常勤など様々な副業があります。
現代ではPTでも副業はマストだね
理学・作業療法士におすすめの副業は、こちらの記事でくわしく紹介しています。。
起業する
整体院やパーソナルトレーニングジムなどを開いて起業する方法もあります。
保険診療内での理学・作業療法士の開業は禁止ですので、保険診療の枠外でのサービスとなります。
開業し軌道に乗るまでは不安定かもしれませんが、営業など得意であれば活躍できる可能性もあります。
リスクはあるけど、稼げる額はグンとあがるよ
理学・作業療法士の年収は中央値でみるべき理由まとめ
本記事では、理学・作業療法士の年収を中央値でみるべき理由と、年収をアップする方法について考察してきました。
若い世代が多く、働く分野も幅広い理学療法士では、年収をみる際には平均値よりも中央値をみる方が参考になります。
もちろん働いている以上、業務内容や人間関係、プライベートとの兼ね合いも重要なポイントなので、併せてチェックしてください。
是非参考にしてみてね
今回は以上です。