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ケーラー脂肪体のリハビリ評価と治療【足関節可動域制限や痛みの原因】

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リハビリの臨床でもアプローチすることが多い足関節背屈の可動域制限や痛み。

患者さんをベッドに寝かせて、取り敢えず足関節の背屈可ストレッチという光景はよく目にしますよね。

リガサポ

新人の頃はまず背屈ストレッチが定番パターンだったな

ただこの背屈制限は、下腿三頭筋だけでなく、本当に色々な組織が制限因子として関与してきます。

中でも特に制限として深く関わっている組織の一つに“ケーラー脂肪体(Kager’s fat pad)”があります。

そんなわけで本記事では、足関節背屈制限や痛みに関わるケーラー脂肪体について徹底解説していきます。

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目次
リガサポ
リハビリ科長&採用担当
経験年数15年越えの理学療法士。慢性期→総合病院→整形外科クリニックと2回の転職を経て、年収100万円以上アップに成功!現在は整形外科クリニックでリハビリ科長として勤務する傍ら、採用担当として人事にも従事。またPT・OTを対象にセミナーも開催。

ケーラー脂肪体とは

まずはケーラー脂肪体について説明します。

足関節の解剖図を見ると、アキレス腱の深部は何も組織がない空間で表示されています(下図の矢印の部分)

画像引用:VISIBLE BODY

実はこの空間は何もないのではなく、ケーラー脂肪体と呼ばれる脂肪組織で埋められています。

英語ではKager’s fat padと表記
読み方はケーラー(ズ)/ケーガー(ズ) ファットパッドと呼ばれることも

このケーラー脂肪体は、アキレス腱の深部から長母趾屈筋の表層、踵骨近位部の隙間に存在しています。

このケーラー脂肪体は以下の3つのパートに分けられます。

ケーラー脂肪体
  • アキレス腱パート
  • 長母趾屈筋パート
  • ウェッジパート

ケーラー脂肪体の役割

ケーラー脂肪体には主に以下のような役割があります。

主な役割
  • 後脛骨動静脈と脛骨神経の保護
  • アキレス腱、長母趾屈筋の滑走性の維持
  • アキレス腱下、アキレス腱付着部の圧縮力の軽減
  • retrocalcaneal bursa(後踵骨滑液包)の内圧調整と摩擦軽減

このように様々な役割がありますが、基本的にはアキレス腱などの周囲組織の滑走性に寄与したり、メカニカルストレスの軽減に関わっています。

ケーラー脂肪体の拘縮で生じる影響

前述の通りケーラー脂肪体には多くの役割があるため、ひとたび拘縮するとその影響も様々……。

具体的には、以下のような影響が出てきます。

  • 足関節背屈制限
  • 底屈時のアキレス腱の滑走性の低下(可動域制限)
  • 下腿三頭筋や長母趾屈筋の滑走性低下(特に足関節背屈制限)
  • アキレス腱付着部へのストレス増大
  • retrocalcaneal bursaの炎症
  • アキレス腱の痛み

特に理学療法の場面では、ケーラー脂肪体の拘縮によりアキレス腱・長母趾屈筋の動きが悪くなるため、足関節の可動域制限(特に背屈)や痛みが出てくるケースに多く遭遇します。

足関節内反捻挫後、外傷後のギプス固定除去後、アキレス腱炎後などの多くの疾患で、このケーラー脂肪体の拘縮・柔軟性低下が影響してきます。

リガサポ

アキレス腱の深層部を触ると、硬く動きが少なくなっているケースは非常に多いよ

そしてこの部分をしっかりとリリースしていくと、足関節の可動域制限が改善するケースは非常に多いです。

そのため一般整形でもスポーツ整形患者でもしっかりとチェックしておく必要があります。

その他の足関節背屈制限の制限因子については以下を参照下さい。

ケーラー脂肪体のリハビリ評価と治療

ケーラー脂肪体に関しては、評価と治療がほぼ同じ方法になってきます。

方法自体もそれほど難しくないので、心配しなくてOK!

アキレス腱/長母趾屈筋パート

まずアキレス腱の深層部分を左右から挟むようにつまみます。

左右交互に動かし硬さを確認

左右それぞれから交互に圧迫をしていき硬さをチェックしていきます。

アキレス腱の深層から長母趾屈筋の表まで少しずつズラしながら触り分けていきます。

リガサポ

硬さ(拘縮)が分かりにくい場合は、左右差もチェックすると分かりやすいよ

触診によって、左右からの圧迫で硬さがあり、側方への動きに制限があれば、ケーラー脂肪体の柔軟性低下があると判断します

ケーラー脂肪体は摩擦刺激で柔軟性が改善するため、治療に関しても評価と同じように硬い部分を中心に左右からの圧迫を繰り返しほぐしていきます。

ウエッジパートの治療法

ケーラー脂肪体のウエッジパートに関しては少し治療方法が変わってきます。

アキレス腱と踵骨後上方突起との間を出入りするのが、ウェッジパートです。

ウェッジパートの動きの特徴として、足関節底背屈に伴う長母趾屈筋パートの動態に伴いアキレス腱パートと踵骨の間を出入りします。

そのため長母趾屈筋パートの移動に伴い、ウェッジパートも移動できる柔軟性が求められます。

治療法としては、一方の手で踵骨を把持し、もう一方の手で長母趾屈筋パートのを左右から挟みます。

そして踵骨を遠位へ引き下げるよう背屈しながら、反対の手では長母趾屈筋パートを近位へ動かすようにしていきます。

踵骨は遠位、長母趾屈筋パートは近位へ

次に逆の操作で踵骨を近位へ押し上げるように底屈しながら、反対の手で長母趾屈筋パートを遠位へ動かすようにしていきます。

踵骨、長母趾屈筋パートを近づけるようにする

この操作を繰り返すことでケーラー脂肪体のウェッジパートの動きを改善していきます。

ケーラー脂肪体のリハビリを学べる書籍

ここで、ケーラー脂肪体への理解を深める書籍をご紹介します。

ケーラー脂肪体はエコー(超音波)の普及に伴い注目されるようになった組織なので、エコー関連の書籍に詳しく書かれています。

特に理学療法士にとって分かりやすいのが、林典雄先生のこちらの書籍です。

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リガサポ

動画付きでイメージしやすいよ

また工藤慎太郎先生のこちらの書籍でもケーラー脂肪体について書かれていて理解しやすいです。

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まとめ:ケーラー脂肪体に着目して足関節のリハビリに活かそう

本記事では、足関節の底背屈制限や痛みと深く関わるケーラー脂肪体について解説しました。

リハビリ場面では足関節の可動域制限は遭遇する機会の多い現象ですが、ケーラー脂肪体が制限になっているケースはかなり多いです。

評価と治療も一緒で慣れればすぐに取り入れれるので、ぜひ練習して自分のものにしてください!

リガサポ

是非、臨床で試してみてね

今回は以上です。

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