医療職=給料が高いというイメージは、理学療法士という仕事を選ぶひとつの要因になった人は多いんじゃないでしょうか?
しかし、いざ働き出してみると意外とそうでもない現実に打ちひしがれてしまいますよね。
実際に理学療法士の年収は、世間一般の平均年収よりも低いという現実があります。
昇給も少ないし、そりゃ平均以下になるよね
とはいえ、これはあくまで平均のデータであって、理学療法士でも給料をアップさせる方法はちゃんとあります。
実際に筆者も、理学療法士の平均以下の年収(400万円以下)から大きく年収アップできた実績があります。
そんなわけで本記事では理学療法士の年収の現実を踏まえつつ、年収をアップさせる方法を紹介していきたいと思います。
世間一般の平均より低いのが、理学療法士の年収の現実
まずは理学療法士の年収事情を紹介していきます。
厚生労働省の調査によると、令和3年度の理学療法士の平均年収は426万5,000円です。
この数字は世間一般の平均年収よりも約17万円も安いという結果に…。
理学療法士 | 全労働者 | |
---|---|---|
平均年収 | 426,5万円 | 443万円 |
平均年齢 | 33,9歳 | 46,7歳 |
国家資格なのに平均以下なんだ…
ただ理学療法士は平均年齢が若く、世間一般の平均年齢より約13歳も若いです。
その点を考慮すれば、理学療法士の年収が完全に世間一般よりも安いとは言い切れないのも事実。
また若い世代が多い理学療法士の年収は平均値だけでなく中央値も確認していくことが、実態を把握するために重要です。
年齢別の平均年収
続いて年齢別の平均年収を見ていきましょう。
年齢別の平均給与
年齢 | 理学療法士 | 全労働者 |
---|---|---|
20〜24歳 | 329万円 | 320万円 |
25〜29歳 | 380万円 | 360万円 |
30〜34歳 | 414万円 | 409万円 |
35〜39歳 | 437万円 | 457万円 |
40〜44歳 | 487万円 | 494万円 |
45〜49歳 | 516万円 | 520万円 |
50〜54歳 | 539万円 | 557万円 |
55〜59歳 | 575万円 | 581万円 |
特徴としては、若い世代のときは平均以上の年収ですが、35歳以降は定年までずっと平均以下という点です。
このデータから理学療法士は昇給しにくいというの現状が垣間みえます。
昇給がわずか500円って職場も聞くよ
20・30代の年代別の給料事情はこちらの記事で、さらにくわしく解説しています。
他の医療職種との比較
続いては同じ国家資格である医療職の年収をチェックしていきましょう。
医療職の平均年収
平均年収 | |
---|---|
リハビリ職 | 426,5万円 |
看護師 | 499万円 |
薬剤師 | 581万円 |
放射線技師 | 547万円 |
臨床検査技師 | 496万円 |
医師 | 1,378万円 |
一覧表にしたのがこちら(医師は額が飛び抜けてるので割愛)
特徴としては同じ医療職のなかでも理学療法士の給料はずば抜けて安いという現実が…。
臨床検査技師と比べても、70万円以上の差をあけられているね
以上のように理学療法士の年収は、医療職と比較しても、また世間一般と比べても低いのが現実です。
次からは、なぜ理学療法士の年収が安いのかをみていきましょう。
理学療法士の年収が低い5つの理由
理学療法士の年収が低い理由は、主に5つの要素が関係しています。
PTの年収が低い原因
それぞれ解説していきます。
保険診療かつ時間で報酬が発生するから
理学療法士をはじめリハビリは、疾患・施設基準によって1単位20分でいくら稼げるかが決まっています。
- 運動器:1,850円
- 脳血管:2,450円
- 呼吸器:1,750円
- 廃用:1,800円
さらにリハビリでは1日24単位、週108単位という制限があり稼げる額にも上限があります。
さらに時間関係なく一処置で報酬が発生する仕組みの医師などと違って、リハビリの時間単位で報酬が発生する仕組みも給料が安くなってしまう原因です。
どうしても保険下だと年収のアッパーが決まってしまうよね
若手もベテランも稼げる額が同じ
前述の通り、リハビリは1単位20分で稼げる額が決まっていて、これは新人PTもベテランPTでも全く同じ。
経験・スキルに関係なく稼げる額は一緒なので、どうしても年収は上がっていきにくいです。
なので、多くの職場で新卒の給料は他職種と比べて高いものの、昇給は少なく徐々に年収が抜かれていくのが多いパターンです。
昇給が500円とかって職場もあるらいしいよ
若い世代が多い
リハビリは、若い20〜30代のセラピストで構成されている職場が大半です。
実際に理学療法士の年齢分布をみても40代以下が圧倒的に多いのがわかります。
そのため必然的に業界全体の年収も低くなりがちです。
こちらは、理学療法士と世間一般の年収および平均年齢を比べたものになります。
理学療法士 | 全労働者 | |
---|---|---|
平均年収 | 426,5万円 | 443万円 |
平均年齢 | 33,9歳 | 46,7歳 |
上図からもわかるように、理学療法士の平均年齢は世間一般よりも10歳以上も若い傾向にあります。
なので今後リハビリ業界の平均年齢が上がっていけば、必然的に年収も上がっていく可能性はあります。
ただ診療報酬の改悪によって、 収益性も変わってくるので 今後も注視していく必要があります。
しっかり賃上げしてくれると嬉しいんだけどね
PTが飽和してきている
厚労省の発表によると、早くて2026年にはリハビリの需要に対して、PT・OTの供給数が多くなると 推測されています。
今後は最悪の場合、理学療法士の免許を持っていても、働き口がないと言う状況になることが懸念されます。
どの業界もですが、その仕事に就くひとが増えれば給料の相場が下がるのが常識です。
経営者目線で考えると、無理に給料をあげなくても、代わりに働いてくれるひとは多くいるって考えになりますしね……。
最近のPTの増加ペースはちょっと異常だよね
理学療法士の増えすぎ問題については、こちらの記事でくわしく解説しています。
リハビリの政治力が弱い
理学療法士の歴史はまだまだ浅く、PT協会も医師会や看護協会に比べ団体の力が弱いのは否めません。
そのため、どうしても診療報酬も上がりにくいのが現状です。
また国会議員にも理学療法士は1名(田中まさし先生)と ただ、存在感は薄く、こういった政治力の弱さも給料が安い一因とも言えます。
もっとPTの資格を持った国会議員が増えると状況も変わるかもね
以上が理学療法士の給料が安い主な要因です。
理学療法士の給料が安い理由については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
理学療法士の年収は職場によってほぼ決まる
稼げる額が経験年数に関係なく一定の理学療法士にとって、年収が決まる大きな要素はどの職場で働くかです。
つまり、どれほどその職場の職員への還元意識が高いかにかかっています。
そういった意味でも下記のような職場は年収が高い傾向にあります。
- 訪問リハビリ
- 整形外科クリニック
- 自費整体
- 大手法人が運営する病院、施設
- 国立、公立病院
年収で考えるなら上記に該当する職場を選ぶと良いでしょう。
筆者も職場が変わって年収アップ
筆者は29歳のタイミングで、総合病院から新規開業の整形外科クリニックへ転職し、年収も大きくアップしました。
こちらが転職前後の給料明細になります。
転職前の年収
上記は27歳時点での年収ですが、前職場ではだいたい400万円が平均でした。
転職後の年収
年収としては約120万円ほどアップしましたが、変わったのは働く職場が違うということだけ。
就業時間や1日の単位数、リハビリ内容もほぼ一緒なのに、働く場所ひとつ違うだけで年収も大きく変わりました。
給料は働く場所で決まるんだって実感したよ
理学療法士が年収アップを目指す方法!年収別に解説
理学療法士の年収を上げるには、どの職場に身を置くかが重要になるとお伝えしました。
ただ理学療法士は稼げる上限が決まっているので、目指す年収帯によって働き方を工夫する必要があります。
そこでここからは、年収別の給料アップ方法を紹介していきます。
年収500万円を目指す方法
年収500万円は理学療法士のなかでは上位20%であり、いわゆる勝ち組のラインとされています。
ただ年収500万円であれば、分野を問わずわりと求人も出ているので、若い年代でも転職で狙えるゾーンになります。
また公務員やベースの給料が高い職場であれば、時間は掛かりますが昇給でも狙える金額になります。
実際に特別な資格を持っていない筆者でも転職で年収500万円超えを達成できたので誰でも狙えると言っていいでしょう。
年収500万円を目指す方法は以下の5つです。
- 転職する(特に訪問リハ・整形クリニック・大手法人)
- 公務員PTになる
- 管理職になる
- 専門学校(大学)の教員になる
- 副業をする
年収500万円を目指す方法はまだ多くあるので、自分にあった方法を目指してみるのが良いでしょう!
年収500万円を目指す方法は、こちらの記事でくわしく解説しています。
年収600万円を目指す方法
理学療法士の年収は最も高くなる50代後半でも約575万円と、年収600万円には届きません。
なので、普通に転職するだけや昇給だけではほぼ不可能です。
年収600万円以上となると、働き方の工夫や働く場所を限定していく必要があります。
- 給料の高い職場で副業を掛けあわせる
- 訪問リハビリで働く
- 専門学校(or大学)の教員になる
- 保険外での起業
普通のPTが目指せるのは、給料の高い職場で副業を掛けあわせるか、訪問リハビリが現実的でしょう。
実際に筆者は転職でベースの年収を上げ、副業で稼ぐことで年収600万円越えを達成しました。
年収600万円を目指す方法は、こちらの記事でくわしく解説しています。
年収700〜800万円を目指す方法
理学療法士で年収700〜800万円となると、かなり少数派になります。
ハードルも高く誰しも達成できる金額ではないですが、可能性はなくはないという金額。
基本的には年収600万円を目指す方法と同等ですが、その精度をさらに高めるイメージです。
- 給料の高い職場で副業を掛けあわせる
- 訪問リハビリで働く
- 大学の教員(講師以上)になる
- 保険外での起業
訪問リハビリでもかなり頑張って年収700万円台が限度で、普通のPTが達成するには副業ので収入をどれだけ増やせるかがカギになります。
年収700〜800万円を目指す方法は、こちらの記事でくわしく解説しています。
年収1,000万円を目指す方法
理学療法士で年収1,000万円というのは、日本でも数えるほどでしょう。
PT1本だと教授になる以外は選択肢がないかも…
そもそも一般職種でも年収1,000万円は難しい数字なので、売り上げが決まっている理学療法士1本ではほぼ不可能な数字と言えます。
そんな中で年収1,000万円を稼げるとしたら、以下の方法くらいかと……
- 副業をめちゃくちゃ頑張る
- 起業する
- 大学の教授になる
普通のPTが目指すには、転職などで本業の収入を最大限あげて、あとは副業をめちゃくちゃ頑張るしかないです。
それでも1,000万円はかなり難しく、副業でそれだけ稼げるならむしろそっちを本業にした方が良いレベル……(笑)
年収1,000万円を目指す方法は、こちらの記事でくわしく解説しています。
理学療法士のリアルな年収の現実まとめ
本記事では、理学療法士のリアルな年収の現実をまとめてきました。
本記事をまとめると以下のとおり。
- PTの平均年収は426,5万円
- 世間一般の平均よりも低い
- PTの給料は働く場所でだいたい決まる
- 年収500万円は転職や昇給で狙える
- 年収600万円以上は働き方の工夫が必要
- 年収800万円以上は神レベル
診療報酬で売り上げの変わる理学療法士は、どこで働くかがすごく重要です。
働く場所が違うだけで、同じ仕事をしていても貰える給料はおおきく変わります。
もし今の給料に不満があるなら転職を検討してみると良いよ
新たな職場をさがすには、転職サイトを活用するのが効率的で失敗しない方法です。
筆者がこれまでに試して、本当におすすめできる転職サイトはこちらの記事で解説しています。
今回は以上です。