脳梗塞の検査・診断方法

脳梗塞の検査

目次

脳梗塞の検査とは

 脳梗塞の診断には、次の3つが重要となります。

  1. 問診(症状や病歴などの聴取)
  2. 診察(専門的評価など)
  3. 検査 

 中でも「3.検査」は、様々な種類の検査が様々な目的で行われますので、検査の多さに戸惑い、不安になることもあるかもしれません。

 ここでは、具体的にどのような検査項目をとおして脳梗塞が診断がされるのかをご紹介します。

脳梗塞の検査項目

 まず、脳梗塞の検査には「脳梗塞かどうかを調べる検査」「どのタイプの脳梗塞かを調べる検査」の2つのステップがあります。またそれ以外にも、治療にあたる際には「合併症がないかを調べる検査」が、救命治療後には「リハビリのための検査」などが行われます。
 ただし、人によって必要な検査かそうでないかは様々で、必ずしも全員がすべてを受けるわけではありませんので、あくまで参考程度とお考えください。
脳梗塞の検査

ステップ 1 脳梗塞かどうかを調べる検査

 はじめに、脳卒中なのかそれ以外の疾患ではないかの検査、そして、脳卒中だとしても脳梗塞なのか脳出血やくも膜下出血ではないのかの検査をします。
 CTやMRI検査では、脳の状態が画像確認されます。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など脳卒中の診断に大きく影響する検査となります。
 同時に、血液検査なども行われます。他の病気の可能性を除外する目的で行われ、脳梗塞かどうかなどを判断するときの助けになります。

脳梗塞かどうかを調べる検査

<脳卒中を疑われる患者に対する検査項目>

  • 頭部画像検査(主にCTやMRIなど。両方行うことも、どちらかだけ行うこともあります)
  • その他の検査(血液検査、心電図、胸部X線、動脈血ガス分析など)

→診断:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、それ以外の疾患

ステップ 2 どのタイプの脳梗塞かを調べる検査

 脳梗塞といってもラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞や心原性脳梗塞などいくつかの種類に分かれ、治療も異なりますので、どれに該当するのか検査をします。ただし、必ずしもすべてが緊急で行われるわけではありません。
どのタイプの脳梗塞かを調べる検査

<脳梗塞と診断された患者に対する検査項目>

  • 脳血管に関する検査
  • 心臓に関する検査
  • 脳の局所血流量の検査
  • 血液に関する検査

  →診断:ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞、それ以外の脳梗塞

追加ステップ 合併症がないかを調べる検査

 患者それぞれに対して適切な治療法を検討するためには、合併症がないかといった観点も重要なります。そこで患者によっては、追加してこのような検査を行うことがあります。
脳梗塞患者に合併症がないかを調べる検査

<合併症が疑われる患者に対する検査例>

  • 頭部以外の画像検査(X線、CTなど) 
  • 血液や尿の検査
  • 脈波測定

 →診断:骨折、大動脈解離、肺炎、悪性腫瘍、下肢静脈血栓症などの合併症


頭部以外の画像検査(X線、CTなど) 

 外傷によると思われるクモ膜下出血、あるいは発症後に転倒したことにより、全身に骨折や内出血がある可能性があります。固定や止血などは迅速に行う必要があるため、疑いのある場合には検査が行われます。

 また、誤嚥性肺炎の有無や大動脈解離などが疑われる場合も、レントゲンやCTなどの画像検査により診断を行います。脚の血管に血栓が詰まっていることが疑われればエコーなどを行います。


血液検査・尿検査

 糖尿病や脂質異常症などの評価を行い、治療の開始や強化が必要でないかを判断します。こうした疾患の治療は再発予防に繋がるため重要です。

 その他、すでに治療中であるはずの疾患の状態評価も重要で、中には脳梗塞に関係すると考えられるデータが現れることもあります。血液や尿の検査はほぼ全例で行われます。なお血液検査自体は全くの正常というケースもあり得ますので、こうした検査だけで脳梗塞を否定することはできません。


脈波測定

 全身血管の硬さや詰まり具合を大雑把に評価する検査です。動脈硬化の進んでいる部位などが把握できると、さらなる検査や治療に進む判断の助けになるほか、当事者の直感的な理解を助けます。

救命治療後の追加ステップ リハビリのための検査

 救命治療が落ち着き、リハビリが治療の中心になった後に行われるような検査もあります。
脳梗塞発症後リハビリのための検査

<救命治療後、リハビリのための検査例>

  • 膀胱機能検査
  • 嚥下機能検査
  • 電気生理学的検査

→診断:適切なリハビリ内容を検討


膀胱機能検査

 急性期よりはもっと後の段階で行われる事が多い検査です。排尿に関わる神経機能の問題で尿が作られるのに膀胱から出せなくなることがありますが、その程度や性質を判断するために膀胱にガスや液体を注入して、尿意や膀胱の反応を計測することで、カテーテル抜去の判断や投薬治療の方針決定の助けとします。

嚥下機能検査

 これも少し状態が落ち着いてからの検査です。嚥下障害の原因は多岐にわたり、不適切な介入は誤嚥のリスクを高めます。したがって画一的な対応は望ましくありません。実際に食べ物や飲み物を飲み込む時の口腔や喉の状態を、内視鏡やX線透視などで確認することが判断の助けになります。

電気生理学的検査

 脊髄や末梢神経の機能を評価する検査の総称です。
 意識障害や高次脳機能障害がある場合、「触っている感覚がどれくらいわかりますか」といった質問への回答が難しかったり当てにならなかったりするために、感覚の評価が難しいのですが、それをある程度「体に聞く」ことができると、訓練方針の修正などに役立ちます。
 また、外傷などにより手足の神経に障害がある場合には脳の回復だけでは運動機能が取り戻せないこともあります。そうした状態に対して神経に電気を通して筋肉の反応を見ることで、回復の可能性がある程度判断できることがあり、手術の必要性や装具・矯正器具などの検討にも役立ちます。

脳梗塞の予防・再発予防としての定期検査の重要性

脳梗塞の予防としての定期検査

 脳梗塞になった家族がいたり、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの脳梗塞のリスク因子を抱えている場合には、脳梗塞を発症しやすい状態になっている可能性があります。

 脳梗塞を発症しやすい状態だと認められた場合には、服薬などの対処で脳梗塞予防が行われたりもします。

 脳梗塞はときに命に関わり、命を取りとめても障害が残ることもある病気です。定期検査を行い、発症を予防することが大切です。


脳梗塞の再発予防としての定期検査

 持病や生活習慣が原因で脳梗塞を発症したことがある人の場合、原因が取り除かれなければ脳梗塞を発症しやすい状態のままとなってしまいます。脳梗塞を再発することで、命に関わったり、あるいは新たな障害ができる可能性があります。
 また、脳梗塞の中には無症候性脳梗塞といって症状がなく自覚がない場合もあります。そうした場合でも次の発症では症状が重く出ることが十分懸念されます。
再発を防ぐためにも定期検査で体の状態を把握しておくことが重要です。
■無症候性脳梗塞とは
 太い脳血管から枝分かれした細い脳血管がつまる脳梗塞のうち、脳細胞への損傷範囲が狭いなどの理由で症状がそれとわかるような形であらわれない脳梗塞のことです。自覚がなく、検査を受けたら実は脳梗塞を起こしたことがあると判明するケースがあります。

脳梗塞など脳疾患の有無を検査する脳ドック

 気になる方は、脳梗塞などの脳疾患の有無を検査する脳ドックなどにいくことを選択肢として考えても良いでしょう。
 ※ただし、明らかな症状がなく積極的な疑いがない場合には、病院での検査は自己負担になる可能性があります。
 例えば無症候性脳梗塞が見つかれば治療を開始するなどのメリットが考えられます。何もせず心配を抱え込むのも良くありませんが、身体への影響がある検査もありますので無闇に受けるものでも無いと考えられます。内科や脳外科にかかりつけ医がある方は相談してみるとよいでしょう。

●脳ドックの主な検査項目

  • CT
  • MRI、MRA
  • 超音波
  • 脳波測定
  • 血圧測定
  • 血液検査
  • 尿検査
  • 心電図
  • 眼底検査

※脳ドック検査項目は病院によって異なります。

監修ドクターのまとめ

 検査については「病態の評価」「潜在リスクの評価」「障害の原因・程度の評価」などの目的があり、その先には「狙いすました方針での治療」というアウトプットがあります。

  • 脳梗塞の治療方針を判断するために、脳画像やその他の検査を活用する。
  • 食事や排泄のリハビリのために役立つ検査もある(施設によりできる検査は異なる)。

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