脳梗塞発症後にかかる費用

目次

脳梗塞発症後にかかる費用とは

 脳梗塞発症後は、まず急性期病院に入院することになります。急性期病院退院後は、障害の度合いや本人・ご家族の希望などによって

  • 自宅で生活しながら通院したり往診を受けたりする
  • 回復期リハビリ病院へ転院する
  • リハビリ施設へ通所する
  • 介護保険適用施設などへ入所する

…など様々なケースがあり、それぞれかかってくる費用は異なります。

 たとえば入院時には入院費食費などが必要ですし、自宅から病院やリハビリ施設に通うのであれば通院費や施設利用費、自宅での生活費などがかかります。また、自宅中心の生活をお考えであれば、家の中の設備をリフォームすることも検討すべきでしょう。

 また、施設によっては公的医療保険や介護保険、助成制度なども利用できますが、対象範囲がそれぞれ異なる他、収入などにより負担軽減の割合が変わることがあります。

 どのタイミングでどのような選択肢があり、それぞれ費用はどれくらいかかるのか、どのような制度によって負担を軽減できるのか、理解を深めておくことをおすすめします。

 



公的医療保険について、詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。


介護保険について、詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
 

発症直後(急性期)にかかる費用

 脳梗塞発症後の検査内容・治療方法・入院期間は人によって異なり、かかる金額も幅があります。手術が必要な方、厳重な体調管理を必要とする方、ひと月以上の長期入院が必要になる方など様々だからです。
 まずは急性期において、具体的にどのような治療があり、どれくらいの金額が必要なのか、また、費用の負担を軽減させるためにはどのようにすればいいかなどをご紹介します。

 項目 自己負担額/1ヶ月あたり
入院基本料や治療費

約6~15万円

 ※年収が約370~770万円の方が高額療養費制度を利用した場合

入院中の食費

約30,000円

 ※1日3食を1,000円として計算した場合
差額ベッド代 約7~25万円

 

1. 急性期病院入院中にかかる費用の種類

 急性期病院入院中にかかる費用として、下記の項目が割合の多くを占めます。

  • 入院基本料(入院環境・看護・医学管理にかかる費用)
  • 治療費(検査、薬剤、手術、リハビリなどにかかる費用)
  • 食事代
  • 差額ベッド代(個室料などと。詳細は下記)

 脳梗塞を患って急性期病院に入院する際、総額で約120~200万円ほどかかります。ですが、実際にはこの費用をすべて支払うわけではなく、医療保険や高額療養費制度を利用することで、自己負担額を大きく抑えることができます。

 また、診察や治療、入院などには、厚生労働省によって診療報酬点数(1点につき10円)が定められており、その点数に基づいて医療費が請求されることになります。医療機関や施術内容によって点数が変動し費用が変わるため、実際にかかる医療費は各医療機関への問い合わせが必要です。

 

 なぜ病院によって入院医療費が異なるのか

 

 なぜ病院によって入院医療費が異なるのか。それは、医療費の計算方式が「包括払い」と「出来高払い」の2種類あることが要因となります。

 

包括払いとは

 包括払いとは、ひとつの疾患に対して行われる診察や治療の一部を一括りとして考え、医療費をある程度定額にする方式です。入院基本料、検査、画像診断、投薬、注射などがまとめられており、手術、麻酔、リハビリなどは別途、加算して算出されます。

 

出来高払いとは

 出来高払いは、受けた診療に対して支払いを行う方式です。出来高払いの場合、医療サービスを受ければ受けるほど支払う額が増えるため、多くの治療を要すると考えられる急性期病院では、包括払いの導入が進められています。

 

公的医療保険適用となるのはどの費用か

 急性期病院入院中にかかる費用のすべてが、公的医療保険の適用対象となるわけではなく、たとえば入院基本料や治療費などの入院診療費は保険適用となり、差額ベッド代や食事代は保険適用外のサービスとなります。
 費用を把握するためには、何が公的医療保険内なのか、それとも適用外なのかを確認しておくと良いでしょう。

保険適用外となることが多い差額ベッド代

 個室や少人数の部屋は、特別療養環境室といって、

  • 1室あたりの病床数が4つ以下であること
  • 病室の面積は1人あたり6.4平方メートル以上あること
  • 病床ごとのプライバシーが確保できる環境であること

などの条件を満たすと、差額ベッド代が必要です(個室だけでなく、2人部屋や4人部屋でも差額ベッド代が発生し得ます)

 病院側の事情や容態(感染症にかかりやすい特定の状況にあるなど、定めがあります)によっては差額ベッド代が求められないケースもありますが、プライバシーを重視したいなど自分の希望から個室に移る場合は請求されます。

 厚生労働省の調査によると、差額ベッド代にかかる費用は平均して2,500~8,000円(1日あたり)ほどと言われており、1ヶ月の入院となると差額ベッド代だけで約7~25万円の出費となります。脳梗塞の入院は月単位の長期であることが多く、診療費・食費で月に10万円強、というところからすると、この差額ベッド代がで入院費を大きく左右すると言えるでしょう。また、差額ベッド代は高額療養費制度や医療費控除の対象外となる、つまり全額自己負担となることがほとんどのため、入院する病院の差額ベッド代についてあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

 

2. 費用負担を軽減させるには

 脳梗塞発症後は長期入院になることがほとんどで、その分、入院医療費は高くなりがちですが、下記のような制度により、負担を軽減させることができます。

<負担軽減に利用できる制度の例>

制度例 概要
高額療養費制度 所得に応じて定められる「自己負担限度額」を超えて医療費の支払いを行っていた場合に、差額分が戻ってくる制度。
医療費控除 生計をともにする家族が要した医療費が一定額を超えた場合、所得税の控除を受けることができる制度。
傷病手当 病気や怪我が原因で仕事に行くことができず、十分な収入を得られなかった場合に利用できることのできる制度。
障害者手帳  所持していることで医療費助成を受けられたり、公共交通機関や公共施設を無料あるいは割引料金で利用できたりする制度。

 ※上記制度を設けていない市区町村もあります。

高額療養費の例


 また、脳梗塞は民間の医療保険の対象となっていることも多いです。医療保険に加入している方は必ずチェックするようにしましょう。

脳梗塞の急性期について、詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
 

急性期病院退院後の選択肢とその費用

 急性期病院退院後のリハビリ場所には、主に「外来リハビリに通院」「回復期リハビリ病院への転院」「介護保険サービスでのリハビリ(通所、訪問)」の3つの選択肢があり、機能障害の度合いや能力、環境、本人や家族の希望などによって、専門スタッフとも相談して決めます。

項目 費用例/1ヶ月あたり
外来リハビリの場合にかかる費用

 ※1回20分のリハビリを月に13回受けた場合

約6,000円

回復期リハビリ病院の場合にかかる費用

 ※医療費の自己負担額+食費
約120,000円

リハビリ施設通所の場合にかかる費用

 ※1回1時間のリハビリを月に8回受けた場合
約3,000円

訪問リハビリの場合にかかる費用

 ※1回40分のリハビリを月に12回受けた場合
約8,000円

 

1.  外来リハビリの場合にかかる費用

 外来リハビリを行った場合にかかる費用は、病院の設備や広さ、常勤医師の人数などによって定められる施設基準をもとに計算されます。 費用の目安としては以下のとおりです。

 時間

費用の目安

(自己負担3割の場合)

20分  約300~750円
40分  約600~1,500円

 介護保険の等級認定を持っている方(要介護被保険者)で生活期に該当する方が外来リハビリを受ける場合、疾患別リハビリとして医療保険を利用することができます。ただし、2019年4月以降は介護保険への移行が求められており、医療保険の利用はできなくなるので注意が必要です。

 

外来リハビリにかかる費用の計算方法

 平成30年度診療報酬における脳血管疾患等リハビリテーション料は、1単位あたりの点数が100~245点の間で定められています。

 20分のリハビリを行った際に1単位となるため、たとえば医療保険での自己負担3割の方が、1単位あたり245点の脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)で40分のリハビリを行った場合は以下のような計算になります。

     245点×2単位=490点

 

     490点×10円=4,900円 

        ※1点につき10円

 

     4,900円×0.3=1,470円

 

2. 回復期リハビリ病院の場合にかかる費用

 退院後の生活ができるだけ制約の少ない快適なものになることを目的として、機能回復と環境調整とを進めていく回復期ですが、急性期の退院時点で自宅からの通院が困難な場合には、回復期リハビリテーション病院に入院するのが一般的です。

 回復期リハビリ病院にかかる費用は、急性期病院に入院する際の費用とさほど変わりはありません。高額療養費制度を利用するのであれば、入院基本料や治療費に食費を含めると、月額約10~20万円が自己負担額の目安となります。

 また、急性期病院や回復期リハビリ病院を退院した後、自宅での生活が難しい場合には療養病院(医療療養病床や介護療養病床、介護医療院)にて入院を継続することも考えられます。どちらも長期的な療養を必要とする方が入院するための施設ですが、医療療養病床は医療保険、介護療養病床および介護医療院は介護保険の対象となります。たとえ同じ病院内の施設であっても、入院費などはそれぞれ異なるため、事前に確認しておくようにしましょう。
 病院によって食費や差額ベッド代などは異なるため、入院先を考える際には、しっかり確認するようにしましょう。

3. リハビリ施設通所の場合にかかる費用

  通所リハビリを利用する際、基本料金と加算料金を合計した費用がかかります。

 介護予防通所リハビリテーションと通所リハビリテーションのどちらを利用するかによっても異なりますが、特に、通所リハビリテーションの基本料金は細かく設定されており、事業所の規模や利用時間、要介護認定の区分などによって決められています。
 また、2018年度からはこれまで1~2時間ごとだった利用時間が1時間ごとで区切られるようになり、最短で1時間以上2時間未満、最長で7時間以上8時間未満での利用が可能です。

 加算料金に関しては、医師の詳細な指示や会議への参加、家族への説明など、リハビリの実施における医師の関与によって加算される「リハビリテーションマネジメント加算」や、実際の生活場面での活動能力が向上した場合に加算される「生活行為向上リハビリテーション実施加算」などがあります。

 以下で、介護保険を利用した場合にかかる通所リハビリの費用例をご紹介します。

<リハビリ施設通所にかかる費用の例>

<介護リハビリテーションの費用目安>
 介護リハビリテーションの基本料金は、要支援1の方で1,712円、要支援2の方は3,615円です。また、加算料金に関しては、リハビリテーションマネジメント加算は330円、生活行為向上リハビリテーション実施加算は450円または900円で設定されています。

<通所リハビリテーションの費用目安>
 通所リハビリテーションの基本料金は、通常規模の事業所(1ヶ月の平均利用者数750人以内)で利用者負担1割の場合、要介護1の方は329円~712円です。また、加算料金に関しては、リハビリテーションマネジメント加算は330円~1,220円、生活行為向上リハビリテーション実施加算は1,000円または2,000円となっています。

<自己負担が必要なもの(保険対象外の費用)>

  • 食費
  • おむつ代
  • 日用品費(石鹸、シャンプー、タオルなど)
  • 教養娯楽費(レクレーションにかかる費用など)
 

参考:厚生労働省 『介護報酬の算定構造』p6,27



通所リハビリテーションについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
 

4. 訪問リハビリの場合にかかる費用

 介護保険内で訪問リハビリを利用する場合、所得やお住まいの地域、受けるサービスの内容などによってかかる費用が異なります。

 たとえば所得で見ると、ほとんどの方が1~2割の自己負担額ですが、2018年8月からは年間の合計所得金額(収入から公的年金等控除額などを金額)が単身世帯で340万円以上、2人以上世帯で463万円以上ある方の負担割合は3割となります。また、地域も1級から7級・その他と分類されており、1級から費用の上乗せ割合が20%、16%、15%…と定められています。
 そこから各サービスの人件費割合なども含めて換算されますが、訪問リハビリは人件費割合55%のサービスに分類されているため、たとえば東京23区の場合は1単位あたり11.10円として計算されます。

 また、費用は基本料金に体制に対しての加算・減算などが行われて計算されます。

 下記は訪問リハビリにおける2018年度の介護報酬単位をもとに、東京23区にお住まいの方が1割負担される場合で計算していますので、一例としてご覧ください。

<訪問リハビリテーションにかかる費用の例>

※訪問リハビリは、1週に6回を限度としています。

 訪問リハビリテーションの基本料金は1回(20分)あたり290単位と定められており、上記の例の場合だと自己負担額は約320円となります。

 その基本料金に、退院・退所して間もない方を対象に身体機能の回復を目的として行われる「短期集中リハビリテーション加算」や、医師によるリハビリの指示や理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による指導、日常生活を送るうえでのアドバイスが受けられる「リハビリテーションマネジメント加算」などが行われ、金額が算出されます。

 また、上記以外にも社会参加支援加算や、事業所の医師によるリハビリ計画作成が行われなかった場合の減算などがあります。介護報酬は今後も改訂が行われる可能性が高いので、最新のものを確認するようにしましょう。

参考:厚生労働省 『平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について』 pp.44-59 

 
訪問リハビリテーションについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
 

5. その他、病院退院後にかかる費用

医療費

 脳梗塞は、再発や合併症予防の治療を必要とする方も少なくなく、そのための医療費についても考えておくべきです。

 脳梗塞の再発予防としては、「脳梗塞のリスク因子対策」「薬による治療」「手術による治療」の3つが挙げられますが、脳梗塞発症の原因は患者によって違い、また持病や体質など体の状態も人それぞれです。どのような治療が行われるかは人によって異なるため、治療費は一概にいくらということはできません。

 発症後は定期的に病院に通うことがほとんどのため、診察や外来リハビリにかかる費用、通院のための交通費、定期検査費、処方があれば薬剤費など、長期にわたって様々な費用が必要となることが予想されます。また、通院が難しい場合には、訪問診療を利用することも考えられます。その際、通院に要する交通費などは不要となりますが、往診料や在宅患者訪問診療料が必要となるということにも留意しておきましょう。

<費用負担を軽減させるには>

 医療費の費用負担を軽減させるためには、公的医療保険を活用することが大切です。公的医療保険は、入院時と同様、費用負担額に応じて高額療養費や医療費控除、傷病手当などの制度を利用することができます。また、障害者手帳を有する場合にも、自立支援医療制度を利用して自己負担額を軽減させることができます。

 高額療養費の払い戻しが行われるまでの費用が負担で……という場合には、「限度額適用認定証」を提示することで、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までにすることが可能です。限度額適用認定証は各健康保険への申請が必要となり、取得には時間を要するので、早めに申請しておくことをおすすめします。

 

施設入所費

 自宅での生活が難しい場合には、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設などの施設に入所するという選択肢もあります。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)…要介護の高齢者が生活するための施設。いわゆる「特養」
  • 介護老人保健施設…要介護の高齢者が在宅で生活できるようにリハビリなどを提供する施設。いわゆる「老健」

 介護老人福祉施設を例にすると、1日あたりの基準費用額は食費1,380円、居住費が施設によって840~1,970円と定められており、1ヶ月(30日)あたりだと約6~10万円ほどになります。こちらの金額に介護サービス費や生活費などが加算され、合計で10~15万円ほどが目安となるでしょう。

 また、上記以外にも高齢者の住まいとして「福祉サービス付きの高齢者向け住宅」や「有料老人ホーム」が挙げられますが、これらは介護保険を利用して入所する上記のものとは異なった枠組みのものになります。営利法人(民間企業)による運営も多く、施設によってサービス内容や費用が大きく異なります。老健などは施設入所費内に医療費も含まれていますが、有料老人ホームなどは別途医療費を支払う必要があるという点も押さえておきましょう。

<費用負担を軽減させるには>

 介護老人福祉施設や介護老人保健施設に入所する際、所得が一定以下の方の場合は特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)の制度を利用することで、さらに費用が抑えられます。負担限度額は所得や施設、居住する部屋の種類によって異なりますが、自己負担額を大きく下げられるので、条件に該当しているかお住まいの市区町村に問い合わせてみるとよいでしょう。

 

リフォーム・補助具等の費用

 退院後の状態によっては、家のリフォームや補助具のレンタル・購入が必要になることがあります。身体の状況や経済的な理由から取捨選択することが求められるため、退院直前になって焦らなくても済むよう、入院中に医師やセラピストと相談しながら、確認・検討をしておくことをおすすめします。

 下の表は福祉用具貸与の対象となる13品目ですが、介護保険内で利用できるかどうかは、要介護度によっても異なります。購入する場合にはどのくらいかかるのか、見ていきましょう。

項目 購入時の費用目安
特殊寝台および付属品 350,000~2,500,000円
床ずれ防止用具 8,000~150,000円
体位変換器 20,000~200,000円
手すり 3,000~450,000円
スロープ 80,000~300,000円
車いすおよび付属品 50,000~150,000円
歩行器 9,000~180,000円
歩行補助杖 3,000~30,000円
移動用リフト 300,000~500,000円
徘徊感知機器 50,000~130,000円
自動排泄処理装置 500,000~650,000円

 また、福祉用具の設置だけでなく、リフォームまで行うと、住宅改修費も必要になります。費用はスロープや手すりの長さ・種類によっても変わってきますが、工事には約10~20万円ほどかかり、設置に伴った床・廊下の補強や拡張なども含めるとさらに費用はかさみます。

 

<費用負担を軽減させるには>

 リフォーム・補助具等の費用軽減には、介護保険が利用できます。介護保険では、利用者負担1~3割で福祉用具のレンタルを行うことができます。ただし、要介護度によってレンタルできる福祉用具は決まっており、購入する場合には保険が効かない用具もあります。

 

<介護保険利用時のレンタル費用目安>

項目

介護保険利用時の費用目安

/1ヶ月あたり

特殊寝台および付属品 1,000~6,000円
床ずれ防止用具 300~3,000円
体位変換器 100~3,000円
手すり 200~2,700円
スロープ 50~1,200円
車いすおよび付属品 400~7,500円
歩行器 150~1,500円
歩行補助杖 100~450円
移動用リフト 1,000~6,000円
徘徊感知機器 500~2,400円

自動排泄処理装置

900~3,600円

  ※要介護度が要支援1~2、要介護1の場合は、原則、上記太文字の項目が保険対象とならず、自動排泄処理装置は要支援1~2、要介護1~3までが保険対象外です。

 また、以下のように、劣化が考えられるもの・レンタルとして使用するのに抵抗感を伴うものに関しては、介護保険内で購入することができます。

  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助用具
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具の部品

 利用者は1割負担であるため、たとえば10万円支払った場合の実際にかかる金額は1万円となります。(年間の支給限度額は10万円です。)

 利用する年月にもよりますが、特殊寝台のように購入時の費用負担が大きいものに関しては、保険内で利用できるレンタルのほうが安く利用できることがほとんどです。ですが、中古での購入がしやすいものや保険対象外のものなどは、自費で購入したほうが結果的に安くなるケースもあります。症状や要介護度によってもレンタル・購入のどちらが良いかは異なってくるので、しっかり比較・検討を行うようにしましょう。

 

介護サービス利用費

 退院後に通所介護(デイサービス)や訪問介護(ホームヘルプ)のサービスを利用する場合は、その分の利用費も考えておく必要があります。

通所介護(デイサービス)とは

 利用者が施設に通い、日常生活のサポートを受けたり、機能回復の訓練を行ったりする介護サービス。

訪問介護(ホームヘルプ)とは

 ホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し、身体介護(食事・排泄・入浴など)や生活援助(掃除・洗濯・買い物など)を行う介護サービス。


 また、上記の2種類以外にも、短期間の宿泊ができるショートステイもあります。これらは、利用者の孤立感解消心身機能の維持回復、介護をする側の負担軽減などを目的としてサービスの提供が行われています。

ショートステイについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。

 

 介護にかかる費用は地域や介護の種類によっても異なり、「単位制」が採用されています。1単位あたりの料金は10.00~11.40円の間で変動し、たとえば100単位の介護サービスを受けた場合は1,000~1,140円がかかることになります。

 また、単位数は要介護度や利用する時間によっても異なり、通常規模型事業所の通所介護サービス利用時は所要時間が7時間以上8時間未満の場合に645~1,124単位、身体介護中心型の訪問介護サービス利用時は、20分未満で165単位、20分以上30分未満で248単位といったように細かく分けられています。

 

<費用負担を軽減させるには>

 介護保険を利用することで、利用者の負担を1~3割に軽減させることができます。ただし、通所介護のように介護保険施設を利用する場合は、介護保険での自己負担分以外に、居住費や食費、日常生活にかかる費用なども別途必要になります。

 また、支給限度額は要介護度によって決められており、限度額を超えて利用した場合には、超えた分を全額自己負担することになります。ですが、「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」や「高額介護サービス費」のように、自己負担分を軽減させるための制度もありますので、詳しくはお住まいの市区町村に問い合わせてみましょう。

 

生活支援サービス利用費

 医療や介護以外にも、生活支援サービスの利用も考えられます。生活支援サービスは、見守りや安否確認、外出支援、買い物・調理・掃除などの生活援助など多岐に渡り、地域住民のボランティアやNPO、民間企業など様々な機関がサービスを提供しています。

項目 費用例

見守り・安否確認

月額2,000~4,000円

※警備会社のサービスを利用した場合

外出支援 1回あたり200円

1時間あたり5,000円 など

生活援助 1回あたり200円

1ヶ月あたり3,000円 など

 

※上記はあくまでも一例です。市区町村によっては、無料でサービスを行っていたり助成金のサービスを行っていたりする場合もあります。

 

<費用負担を軽減させるには>

 介護予防・日常生活支援総合事業が平成29年4月からスタートしたことにより、介護保険制度は地域の実情に沿った取り組みが行われるようになりました。そのため、今まで一律だったサービスの内容や単価は市区町村ごとに変動することになります。

 費用負担を軽減させる方法としては介護保険の利用が考えられますが、どのサービスが保険対象内となるのか、費用がどのくらいかかるのかは、各市区町村に確認するようにしましょう。

 

その他の費用

 これまでご紹介した費用以外にも、見えづらい費用として家族が介護・介助するための費用が挙げられます。

 遠方であれば交通費や宿泊費が必要となり、遠方でなくても、付き添いなどで費用はかかります。また、仕事を休んで介護を行う場合には、仕事ができない間の収入がなくなるため、こうした機会損失も含めて考えると経済負担が大きくなります。

 こういった介護を要因とする休業の場合には、「介護休業給付金」の利用ができる可能性が高いので、在職中の事業所を管轄しているハローワークに確認しておくとよいでしょう。

 ほかにも、引っ越しを行ったり、車を車いす対応のもの、乗り降りが楽なものに買い替えたりすることも考えられます。また、運動療法の一環でスポーツを新たに始めたり、ジムに通ったりすることもあるでしょう。これらは必ずしも必要な費用というわけではありませんが、退院後にどういった生活を送るかを考えたうえで、項目の1つとしてお考えになることをおすすめします。

監修ドクターのまとめ

 皆保険制度の日本で、特に若年層はあまり医療費の額面には馴染みがないように思いますが、入院ともなれば結構な額を要します。また、現役世代が家事手伝いの方を雇ったり新しい家具を買えばそれなりの費用が生じますが、これが介護を要する方を対象としたサービスとなれば、配慮を要するぶん、コストは上乗せされるのが理屈の上では妥当でしょう。「病気になると、お金がかかる」当たり前なのですが、額面はおそらく想像以上なのではないでしょうか。

 ですが現実的に疾病・障害を抱えた方やその介護に当たる方が、それらの費用をすべて捻出することは困難です。多くの方は様々な公的制度を使ったうえで、家計を見直したり貯金を切り崩したりして必要な自己負担を賄います。しかし現実的には希望するサービスすべてを受けられなかったり、経済的な理由で望む環境での生活を断念しなければならないケースも珍しくありません。

 

  • 入院診療を受ける場合、高額医療費制度などのおかげで自己負担は抑えられており、裏を返せば医療費全体としては想像以上にかかっているケースが多い。
  • 生活の場は「自宅」「施設」「病院」のいずれかが殆どで、それぞれ支出の方向性が変わってくる。利用できる制度も異なる。
  • 在宅生活の場合介護保険を利用することが多いと思われるが、介護保険の自己負担割合は2018年8月から最大で3割となったため注意が必要。
 

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